可動素体を作ろう!(我流鼻毛真拳)

市販のドールボディと全然違うプロポーションのキャラドールを作りたくなりましてね、もちろん各関節動かなきゃ納得いかなかったので、やってみました。何ヶ月もかかりましたが、おもしろかったです。

わァがしょおがいに 一片の悔いなァ〜しィ!(CV千葉一族)

まだ途中ですが、いろいろわかってきたこともあるので、書いておきます。ときどき加筆修正するかもしんないです。

諸注意

  • 我流です。マネして失敗しても怒らない怒らない。
  • 11cmドールくらいの大きさでの作例です。もっと大きいと、別の工夫が必要かもしれません。ジョイント探しとか自重とか。もっと小さいのは強度の関係で難しいかも。
  • 今回は長袖長ズボンが前提なので、素体の美しさは考慮してないす。
  • たまたま自分は不器用なのでデジタル造形ですが、アナログでも同じことはできると思います。ただ、別のノウハウが必要かもしれません。

さまざまな可動フィギュアやドールの構造をいろいろパクって開発した 必殺・ひとり送りバント!

はじめに

軸関節のつくりかた

片方の受けにポリキャップを仕込み、軸を通して、もう片方の受けと軸を接着
よほど狭い箇所でなければ、端の受け – 中心の受け – 端の受けとはさみこむとずれにくい ポリキャップは中心の受けに 

肩関節

ここがいちばん大変 ひねるし回るし胴体と干渉するし 服越しに変に力がかかるし

ジョイントの選びかた

胴体側はできれば軸差し込みを避ける 短く、抜けやすくなりがち
球状関節ひとつに頼るのもあんまり良くない 曲がる方向が1つしかないし、曲がらない方向に曲げちゃうとけっこう強い力がかかる とくにドール素体だと服越しなので難しい
普通のダブルボールジョイントだと腕側の形状が合わず、可動域が狭くなる

したがって…
「胴体側がボールジョイントで腕側が球状関節になったもの」か「ダブルボールジョイントだけど、片方の受けが腕用の形状になったもの」がいいはず

自分は関節技の球体ジョイントリンクを使いました 難点は、いろんなタイプをアソートにしすぎて本当に必要なジョイントが1シート2こしか作れなかったりして、失敗すると高くつくことです あと、ボールジョイントの受けはPCで硬くて使いにくそうです 

今回採用したのはこの形状 これをボールジョイント受けとポリキャップで受けます

この構造を参考に、オビ球と「接着するとボールジョイント作れる球」の組み合わせってのも作りましたが、オビ球は接着向けの素材ではないので半月保ちませんでした ちなみに、まえ限定販売されてたfigmaジョイントは球のサイズが特殊で、合う市販のジョイント受けがありませんでした

可動チェックのしかた

腕のひねりも考慮すること

「我が生涯に一片の悔いなし」をやらせてみるといい 肘を後ろにして腕を横に上げるのと、横にして前に上げるのと(だから最初の画像になったんすね)
前方向の動きは「両手で銃を構えるポーズ」 ただこれはけっこう難易度高いので再現できなくてもいい 胸がそうとう干渉します

ギャグの「タイホする」じゃなくて大真面目に「逮捕する」って言ってる本官ちゃん かっこいい

胴体

ごめ、ここも大変だわw

胸と腰にふたつ関節を作って、水平の回転、前後の曲げ、ひとつの関節につきどちらかに絞る
両方に動くようにしちゃうと、中心の1点でしか支えられなくなるのでグッラグラになる ここで何回も失敗しました 市販の素体で両方に動かせる場合は「外皮」で固定するか動きを少しころすパーツをつけているようです

たいてい腰が回転、胸が曲げになっています たぶんそのほうが動きが自然だとか、股関節と共存しやすいとか、形が変わりにくいとかの理由だと思います 今回もそうしました あ、「横の曲げ」はあきらめました あんまり使わないし

水平の回転

ボールジョイントでいいけど、まわりを円柱型に出っ張らせて、受け側を同じ形に削る こうするとずれにくくなる

マンガへそはツッコミ無用

ジョイント受けの固定を兼ねて「でっぱりつきのフタ」にしてみました 内部にジョイント受けの形の空洞が空いていて、上下からはさみこんで接着する感じです

前後の曲げ

こっちもボールジョイントがいい 軸関節を自作したこともあるけど、そうとう力がかかるので折れました

胸毛モールドもツッコミ無用

かまぼこ状の板は前後以外の動きをころすためにつけています 軸ではないです 反対側に対応するくぼみをつけますが、穴を前後に広げないと全く曲がらなくなるよ

股関節

ボールジョイント 棒側をKOKANに、受け側を太ももに

できれば、ふとももにも分割点をつくって 水平方向のひねりは脚だけでやるようにすると 股関節周りの削りが少なくて済み、安定するし形も良くなるみたいです 今回はド短足なので無理でした

人体ではありえないけど、「脚の付け根を後ろに曲げる」ことができるようにしておくといい 胴体だけでは大きく反らすことが難しいので脚でカバー

肩関節パーツがまだ検討中だったのでモンティのブラックナイト状態ですまん

ひじひざ

合う二重関節が調達できればそれを 無理なら軸関節だが、ひじ裏・ひざ裏を大きく削ることになる 大きい素体なら軸関節2つつなげて二重関節自作、という選択肢もあるかもしれない

ひじ裏・ひざ裏

曲げるとぶつかる部分 ここの処理でよく使われるのが、互い違いに彫って全体の輪郭を大きく変えない技 ただし大きく曲げたいときは使えない それぞれを倍削る必要があるから

大きく彫り込むときは、軸受けのある側を<の字に彫ると強度が落ちるので、反対側の彫る角度を変えて調整

手首

今回はオビ球を使いました 腕の太さにいちばん近いサイズを選ぶと見た目が崩れにくいです 小さければジョイントが埋まる、というものではなさそうです

足首

普通は球状関節が使われてます 足(くつ側)の軸は足の甲に斜めに仕込みます

今回は、足首が太すぎて足の甲に軸が届かないし 脚(ふくらはぎ側)が短すぎて軸が抜けちゃうので、ボールジョイントにしてしまいました

ジョイント受けはくつ側に 逆だとジョイント棒が極端に短くなるのですぐ抜けます ただこれ、たくさん動かそうとするとどうしても足首にすき間が開きます ジョイント受けを固定する面積の関係で、くつ側を大きく削って脚を納める技が使えないから

今回は「踏むほど長い長ズボン」がコスチュームなので採用できましたが、ふつうは少し動けば上等くらいに考えたほうがいいかも 「ROBOT魂ドラえもん」もあんまり足首動いてなかった記憶があります

つまさき

靴を履かせないのであれば、曲げられるようにすると踏ん張るポーズがキメやすい フィギュアーツとかfigmaとかでおなじみのやつです

ポリキャップを使わない、ごく小さい軸関節をつくる 真鍮棒がギリギリ通る大きさの穴を開け、押し込んで摩擦で固定する この際、つま先側の上下を少し削る 上に曲げたとき「足の甲と干渉しないように」「足の裏にあまったところが飛び出さないように」

今回けっこうがんばって作りこんだんだけど、設定上 予想以上に足の小さいやつだったので断念しました

肩関節脱臼対策・クビスポン対策

胸側に球状関節の軸を刺すなら、抜け対策は必須だと思います

胸を分解できる構造にしておいて、抜け止めとして軸の端を太らせてから納棺 太らせるには軸をアイロンで軽く熱して融かすといいです
できれば胸を接着しなくてもふたがとじるように、合わせ目にプラ棒とポリキャップを仕込みたい ジョイント自体が壊れて交換することもあるので 今回は素体が小さすぎて無理でした

ちなみに、なんで抜けるか

とくに幼児体型の場合、意外と胸パーツは小さくなるので 胸側の軸穴を長く確保できない

加えて肩は変な力がかかりがち 「球状関節だと1方向にしか曲がらないのに、その1方向が服越しの手探り」で、しかも手の先端を持って動かすとテコの原理で肩の荷重が大きくなる

首は重でかいものを1本の棒で支えるし、けっこう強めに動かすし、服によってはえりくびが挟まって 抜ける方向に常に力が加わ… いや服が挟まるほど首が短いのこいつだけかw

こんなときは

重心をずらしたいとき

べつに垂直軸まっすぐでいいと思うけど、今回は首がかなり後ろについてるキャラデザインだったので調整が必要でした

腰ではなく足首(接地点)を基準に 足首から垂直に引いた線の前後で振れ幅を同じにする

事故防止

3Dプリンター出力で関節が折れる事故があったら

(積層型プリンターの場合)高精細度で出力してみよう 密度が上がるというか割れる力が分散されるというか、ちょっと強度が増すみたいです

あと、関節周りに瞬間パテや高切削性の瞬着をすり込んでコーティングしても、少し補強になります ただデザイン通りの形に整えるのが難しいので、手パーツとかにすり込むのはやめよう

パーツ穴は大きめに開ける

プラ棒やジョイントをゴリゴリねじ込もうとして何回も破壊しました ポリキャップが押されて形変わったりもして 余裕で通る穴を確保しておいて、接着剤とか別に作った「ふた」パーツとかで固定しよう

塗装するなら可動部の隙間も大きめにする

あたりまえのことですが… 未塗装の状態で何ヶ月も調整してるうちに忘れてました とくに「遊ぶ用」にするならトップコートは厚めにするし

関節パーツの扱い

みなさまには周知の事実かもしれませんが、わたし痛い目をみたので、いちおう書いておきます、ということです

市販パーツの寸法は「キリのいいmm」になってない場合も

現物合わせじゃなく採寸して穴を開けるときは、こまかく計測しないと入らなくなる 目分量でいいので、小数点以下のmmも目盛りを読んでおこう

ボールジョイントの棒はできるだけくわえ込む

穴から少し飛び出した状態で固定、ということはしないで、ギリギリまで何かを盛って「ジョイントを差し込んで止まった位置で固定」する 強度が上がるし、組み立てのとき狙いどおりの寸法にしやすい

盛った「何か」自体が干渉して可動域が狭まらないように、面取りをしておく

ボールジョイント受けの支え軸はできれば残す

玉がついてる棒の側ではなく、それを受けるハコの側の話 埋め込むとき用に3本の支え軸がついていて、狭い箇所に埋めるときは邪魔になるけど、実は「抜けない」「回らない」ようにかなり重要 短くしてもいいけど、なしにはしないほうがいい

バカ田大学の帽子みたいなジョイント受けについて

これ、力がかかるところにジョイント受けを仕込むのに便利 上から穴のあいた板で押さえて接着したり、スリット入れた素材で左右からはさんで接着したりすると、不安定な「PVCとプラとの接着」に頼らないで固定できる 今回は肩と足首に使いました

「ドボン」したらポリキャップは捨てる

あたりまえっちゃあ あたりまえですが、シンナーに浸すとカチカチになります ソフビパーツをシンナーに浸して収縮させてサイズ調整する改造手法があるくらいだ

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